ChatGPTやPerplexity、GoogleのAI Overviews、AI Modeなどの普及によって、「検索」のあり方が変わり始めています。
これまでのSEOでは、Googleなどの検索結果で上位表示され、Webサイトへの流入を増やすことが大きな目的でした。しかし生成AIでは、AI自身が複数の情報源を参照して情報を整理し、比較や推薦まで行います。
そのため企業に求められるのは、検索順位を上げることだけではありません。AIの回答の中で、自社や自社コンテンツが「引用・言及・推薦される状態」をどうつくるか。
この考え方が、『GEO(Generative Engine Optimization)』や『LLMO(Large Language Model Optimization)』と呼ばれる領域です。
この記事では、AI検索に関する22件の調査・研究データから、検索市場で何が起きているのか、SEO担当者やWebマーケターは何を変えるべきなのかを分かりやすく解説します。
AI検索の登場でSEOはどう変わる?

結論からいうと、AI検索が普及したからといって、SEOそのものが不要になるわけではありません。変わりつつあるのは、「最適化する対象」です。
従来の検索では、ユーザーがキーワードを入力し、検索結果からWebページを選択し、複数のサイトを自分で読み比べることが一般的でした。そのためSEOでは、検索順位やCTR、オーガニック流入などが主要なKPIとして使われています。
一方、ChatGPTやPerplexityなどでは、AIがユーザーに代わって複数の情報源を調査し、一つの回答にまとめます。
さらにAIエージェントが普及すれば、比較・検討だけでなく、予約や購入といった行動までAIが担う可能性があります。
つまり検索マーケティングでは、以下まで考える必要が出てきています。
- 検索順位を上げる
- AIに引用・言及される
- AIの推薦候補に入る
22件のデータから分析|AI検索の最新トレンド

【データ1】Googleの世界検索シェアは約90%

Webブラウザや検索エンジンなどの世界シェアを計測しているアクセス解析サービス『StatCounter Global Stats』のデータでは、Googleは2026年に入っても世界の検索市場で約90%のシェアを持っています。
つまり、AI検索が成長しているからといって、Google検索が突然使われなくなったわけではありません。
2026年6月時点でも、Googleの世界シェアは91.27%です。SEOは引き続き重要な集客チャネルだといえます。
出典:StatCounter Global Stats「Search Engine Market Share Worldwide」
【データ2】AI利用の83%はモバイルアプリで発生

SEOやコンテンツマーケティングを中心に企業のオーガニック成長を支援する米国企業『Graphite』の分析によると、世界のAIサービス利用の83%がモバイルアプリ上で発生しています。
これまでAI市場の大きさを比較する際には、ChatGPT.comなどWebサイトへのアクセスだけが使われるケースもありました。
しかし、Webだけを見ると、ChatGPTやGeminiなどのアプリ利用が抜け落ちます。AI検索の影響を見る際には、Webアクセスだけでなくアプリ利用も含めて考える必要があります。
出典:Graphite「AI Is Much Bigger Than You Think」
【データ3】主要AIサービスは月間450億セッション
Graphiteの分析では、ChatGPT、Gemini、Perplexity、Grok、Claudeという主要5サービスを合わせると、世界で月間約450億セッションに達すると推計されています。
すでに生成AIは、一部の先進的なユーザーだけが使うツールではなく、大規模な情報探索チャネルの一つになっていることが分かります。
出典:Graphite「AI Is Much Bigger Than You Think」
【データ4】AI利用規模は検索エンジンの56%相当
Graphiteは、主要AIサービスのセッション数が、GoogleやBing、Yahooなど主要検索エンジンの利用規模の56%に相当するとも報告しています。
ただし、ここで注意したいのは「AI検索がGoogle検索の56%を奪った」という意味ではないことです。AIサービスでは文章作成やプログラミングなど検索以外の用途も含まれるため、単純比較はできません。
それでも、AIが無視できない規模の情報接触面になっていることを示す数字といえるでしょう。
出典:Graphite「AI Is Much Bigger Than You Think」
【データ5】消費者の約50%がAI検索を意図的に利用

世界的な経営コンサルティング会社McKinsey & Company(マッキンゼー・アンド・カンパニー)が米国の消費者1,927人を対象に2025年8月に実施した調査では、約50%がAIを活用した検索サービスを意図的に利用していると回答しました。
ChatGPTやGemini、Perplexityなどを使った商品探索や比較は、すでに一部の層だけの行動ではなくなりつつあります。
出典:McKinsey & Company「New front door to the internet: Winning in the age of AI search」
【データ6】2028年にはGoogle検索の75%超にAI要約が表示される可能性
McKinseyのトレンド分析では、Google検索のうちAIによる要約が表示される割合は、現在の約50%から、2028年には75%超へ増加する可能性が示されています。
ここで重要なのは、「消費者の75%がAI検索に移行する」という意味ではありません。Google検索そのものの中にもAIが組み込まれていくことで、従来型SEOとAI検索対策の境界が徐々に曖昧になっていく可能性があります。
出典:McKinsey & Company「New front door to the internet: Winning in the age of AI search」
【データ7】検索+AIの利用総量は世界で26%増加
Graphiteの分析では、2025年と2024年を比較した場合、検索エンジンとAIサービスを合計した利用量は世界で26%増加しています。
つまり、AIがGoogle検索を単純に奪っているというよりも、AIの登場によって「調べる・質問する」という情報探索行動そのものが増えている可能性があります。
出典:Graphite「AI Is Much Bigger Than You Think」
AI検索時代に深刻化する「ゼロクリック」

AI検索の利用が増えれば、企業との接点も増えるように思えます。しかし、必ずしもWebサイトへのアクセスが増えるわけではありません。
AIが検索画面やチャット上で回答を完結させることで、ユーザーがWebページを訪問しない「ゼロクリック」が増える可能性があるからです。
【データ8】小規模パブリッシャーの検索流入は2年間で60%減少
Webサイトのリアルタイム読者分析などを提供する『Chartbeat』のデータを米国ニュースメディア『Axios』が報じた調査では、1日1,000〜1万PV程度の小規模パブリッシャーへの検索エンジン経由流入が、2年間で60%減少しました。
AI検索だけが原因と断定できる数字ではありませんが、従来検索からWebメディアへ送られるトラフィックが大きく変化していることが分かります。
出典:Axios「Exclusive: Small publishers hit hardest by search traffic declines」/Chartbeatデータ
【データ9】中規模パブリッシャーでは47%減少
同じChartbeatのデータでは、中規模パブリッシャーへの検索流入も2年間で47%減少しました。AI検索の影響は、大規模ニュースメディアだけの問題ではありません。
企業が運営するオウンドメディアでも、「検索順位は維持できているのに流入が伸びない」という現象が起こる可能性があります。
出典:Axios「Exclusive: Small publishers hit hardest by search traffic declines」/Chartbeatデータ
【データ10】大規模パブリッシャーでも22%減少
同調査では、大規模パブリッシャーでも検索経由トラフィックは22%減少しました。つまり、サイト規模やブランド力があれば検索流入減少の影響を完全に避けられるわけではありません。
SEOの成果をPVやセッションだけで判断することの難しさが増しているといえます。
出典:Axios「Exclusive: Small publishers hit hardest by search traffic declines」/Chartbeatデータ
AI OverviewsはCTRにも影響を与えている

AI検索だけでなく、Google検索そのものも変わっています。特に重要なのが、検索結果の上部にAI生成回答を表示する「AI Overviews」です。
【データ11】AI Overviewがあり、自社が引用されない場合のCTRは0.55%

SEO、デジタル広告、データ分析などを支援する米国のデジタルマーケティング会社『Seer Interactive』は、53アカウント・約4.9万クエリを対象にAI OverviewsとCTRの関係を分析しています。
2025年12月のデータでは、AI Overviewが表示され、なおかつ自社ブランドが引用されなかったクエリのオーガニックCTRは0.55%でした。一方、AI Overviewがないクエリは3.97%です。
AIによる回答が表示されることで、従来の自然検索結果へのクリックが大きく減る可能性が示されています。
出典:Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: 2026 Update」
【データ12】AI Overviewに引用されるとCTRは0.95%
同じSeer Interactiveの2025年12月データでは、AI Overview内で自社ブランドが引用されている場合、オーガニックCTRは0.95%でした。引用されていない場合の0.55%より高くなっています。
つまり今後は「AI Overviewが表示されたか」だけではなく、その回答の中に自社が入っているかまで確認することが重要になると考えられます。
出典:Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: 2026 Update」
【データ13】比較クエリの95.4%でAI Overviewが表示
Seer Interactiveの調査では、「A vs B」のような比較系クエリの95.4%でAI Overviewが確認されています。
これはGEOを考えるうえで非常に重要なデータです。商品・サービスの比較はユーザーの購買判断に近い検索行動です。
その領域でAI回答が高い割合で表示されるのであれば、従来の検索順位だけでなくAI回答内でのブランド露出も見る必要があります。
出典:Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: 2026 Update」
【データ14】レビュー系クエリではAI Overviewの表示率が86.3%
「○○ レビュー」などレビューに関するクエリでは、AI Overviewの表示率が86.3%でした。
購入前の評判確認や比較でも、ユーザーが外部サイトを一つひとつ訪問する前にAIから情報を得るケースが増えていることがうかがえます。
出典:Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: 2026 Update」
【データ15】疑問形クエリでは85.9%
「what」「why」「how」などに相当する疑問形のクエリでも、AI Overviewの表示率は85.9%でした。
ハウツー記事や解説記事は従来SEOで大量の流入を獲得してきた領域です。こうした情報収集クエリほど、AIが直接答えを提示しやすい領域ともいえます。
出典:Seer Interactive「AIO Impact on Google CTR: 2026 Update」
AI経由の流入は現状まだ少ないが、コンバージョン意欲が高い

一方で、AI検索には別の特徴があります。AIサービスからWebサイトへ流入するユーザーは数が少なくても、コンバージョン意欲が高い可能性があります。
【データ16】Perplexity経由のCVRは10.5%

Seer Interactiveがクライアント1社のGA4データを分析した事例では、Perplexity経由ユーザーのCVRは10.5%でした。同じサイトのGoogleオーガニック検索経由CVRは1.76%です。
ただし、これは複数業種を横断した市場平均ではなく1社の事例である点には注意が必要です。それでも、AI経由ユーザーの購買・問い合わせ意欲を考えるうえで興味深いデータです。
出典:Seer Interactive「Case Study: 6 Learnings, 1 site – How Traffic from ChatGPT Converts」
【データ17】ChatGPT経由のCVRは15.9%
同じSeer Interactiveの事例では、ChatGPT経由ユーザーのCVRは15.9%でした。ユーザーはWebサイトへアクセスする前に、ChatGPTとの対話の中で商品やサービスについて調査・比較できます。
そのため、サイト訪問時点ですでに検討が進んでいるユーザーが含まれている可能性があります。
出典:Seer Interactive「Case Study: 6 Learnings, 1 site – How Traffic from ChatGPT Converts」
【データ18】同事例のGoogleオーガニックCVRは1.76%
同じ分析におけるGoogleオーガニック検索のCVRは1.76%でした。ChatGPTの15.9%やPerplexityの10.5%と比べると大きな差があります。
もちろん、AI経由とGoogle検索では流入数やユーザー属性が異なるため、単純に「AI検索のほうが9倍優秀」と結論づけることはできません。
重要なのは、AI Referralをセッション数だけでなくCVRや売上まで含めて計測することです。
出典:Seer Interactive「Case Study: 6 Learnings, 1 site – How Traffic from ChatGPT Converts」
AI検索の順位は「1回検索しただけ」では測れない

GEOで特に注意したいのが計測方法です。Google検索では順位チェックツールを使えば、比較的安定した順位を取得できます。
一方、生成AIの回答は確率的に生成されるため、同じ質問でも回答や引用元が変化します。
【データ19】同じ質問でも引用ソースの一致度は32〜43%
スイスのUniversity of St. Gallen(ザンクトガレン大学)の研究者らが2026年4月に発表した研究「Don’t Measure Once: Measuring Visibility in AI Search (GEO)」では、ChatGPT、Gemini、Google AI Mode、Perplexityを対象にAI検索の変動性を調査しています。
同じプロンプトを同日に繰り返した場合でも、引用される情報源の重なりは32〜43%程度にとどまりました。
つまり、「今日1回検索したら自社が出た」という結果だけでAI上の順位を判断することは難しいということです。
【データ20】ブランド計測には最低7回の実行が目安
同研究では、ブランドの検出率を一定の精度で測定するためには、1プロンプトにつき最低7回の独立した実行が必要とされています。
7回実行すると、ブランド検出率の標準誤差が0.10を下回りました。従来SEOのように「1回取得した順位」をそのまま報告するのではなく、10回中何回登場したかのような確率として評価するほうがAI検索の特性に合っています。
【データ21】引用元まで測るなら8回が目安
ブランド名だけではなく、「どのWebページが引用されたか」まで測定する場合は、より変動が大きくなります。
同研究では、情報源レベルの計測を安定させるには8回の実行が必要とされています。
つまりGEOでは、「ChatGPTに出た・出なかった」ではなく、複数回・複数プロンプト・複数AIエンジンで継続的に計測するという考え方が重要になります。
出典:University of St. Gallen研究チーム「Don’t Measure Once: Measuring Visibility in AI Search (GEO)」
小手先のGEOより「情報設計」が重要

では、どのようなコンテンツを作れば生成AIから評価されやすくなるのでしょうか。
そこで参考になるのが、EC領域におけるGEOを大規模に検証した「E-GEO」です。
【データ22】7,000件超のクエリで15種類のGEO手法を検証

MITなどに所属する研究者を含む研究チームが公開した「E-GEO: A Testbed for Generative Engine Optimization in E-Commerce」では、7,000件を超える現実的な商品検索クエリを収録したベンチマークを構築しています。
研究では、コンテンツを書き換える15種類の一般的なGEOヒューリスティックを比較しました。
その結果、単純な手作業のルールだけでは安定した最適化が難しく、さらに反復的なプロンプト最適化を行うことで、複数領域に共通する有効なパターンが見つかったと報告しています。
ここから重要な示唆が得られます。GEOとは、「AIに好かれそうな言葉を入れること」ではありません。
ユーザーの意図に対して必要な情報を、AIが正確に取得・比較・理解できる状態にすることです。
出典:Bagga, P. S. et al.「E-GEO: A Testbed for Generative Engine Optimization in E-Commerce」arXiv, 2025
GEOでは「自社サイトだけ」を改善しても十分とは限らない
AIは、自社サイトだけを読んで企業やブランドを判断するわけではありません。
企業の公式情報に加えて、第三者メディア、ニュース、レビュー、口コミなど複数の情報源を参照して回答を生成します。
そのため、AI検索時代の情報設計では大きく3つの領域を考える必要があります。
| Owned Media | 公式サイト、商品・サービスページ、FAQ、一次データなど |
|---|---|
| Earned Media | ニュース記事、専門メディア、PR、第三者による評価など |
| UGC・Review | 口コミ、レビューサイト、ユーザーによる体験情報など |
AIが複数の情報源を参照する以上、以下のような情報をWeb上で一貫させることが重要になります。
- 「この企業は何を提供しているのか」
- 「どのようなユーザーに向いているのか」
- 「どのような根拠があるのか」
2026年のGEO・LLMO対策の手順|5ステップ

実際に企業がGEOへ取り組む場合は、次の5ステップで進めると整理しやすくなります。
最初に、ユーザーが商品やサービスを必要とする状況を整理します。
消費者が商品やサービスを思い出す「きっかけ(状況・目的・感情)」を意味します。
具体例)「喉が渇いた(状況)」→「コカ・コーラを飲もう(ブランド想起)」「朝、時間がない(状況)」→「手軽に食べられるゼリー飲料(ブランド想起)」
「○○でおすすめは?」
「AとBならどちらがいい?」
「○○な人には何がおすすめ?」
など、比較・検討に近い質問を洗い出します。
ChatGPT、Gemini、Perplexity、Google AI Modeなどで、自社と競合がどの程度登場するのかを確認します。1回の実行で判断せず、複数回測定することが重要です。
競合がAIに推薦されているにもかかわらず、自社が登場していない場合、その理由を分析します。
不足している情報は何か。
競合だけが掲載されている第三者情報はないか。
AIが商品・サービスの違いを理解できるだけの情報が用意されているか。
こうした観点からギャップを特定します。
自社サイトだけでなく、第三者メディアやPR、UGC、レビューなども含めて情報を整備します。
目的はAIを操作することではありません。AIが自社を正確に理解・比較できる材料を増やすことです。
従来のSEOでは、順位・CTR・セッション・CVなどが主要KPIでした。AI検索では、順位・CTR・セッション・CVに加え、
- AI上でのブランド言及率
- AI回答への引用率
- 推薦率
- 競合とのShare of Voice
- AI経由セッション
- AI経由CV
- 指名検索
なども設定する必要があります。
まとめ|SEOは「検索順位」から「意思決定への影響」まで見る時代へ
今回紹介した22件のデータを見ると、「AI検索が登場したからSEOが終わる」と考えるのは早計です。
むしろ起きているのは、SEOが対象とする範囲の拡大です。
これまでは、検索される → 上位表示される → クリックされるという流れを最適化してきました。
これからは、質問される → AIに理解される → 引用される → 比較候補に入る → 推薦されるところまで考える必要があります。だからこそ、2026年以降の検索マーケティングでは、トラフィックだけを見るのではなく、「ユーザーの意思決定に、自社がどれだけ影響できているか」まで評価することが重要です。
AIくんSEOを土台として、構造化された一次情報、ブランド、PR、第三者評価、UGCなどを組み合わせ、検索エンジンにも生成AIにも理解・選択されやすい情報環境を構築することが、これからの検索戦略では求められます。




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